ドラマ『ホットスポット』レビュー:涼宮ハルヒとの共通点、脚本の意外性、そして美しすぎるロケ地

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zenzen

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(画像は日テレ公式HPから)

実はこのドラマ短いスパンで何度かおすすめされていたんだけどなんとなく見ていなかった。
かなりしつこく勧誘されたので見てみると、意外と面白かったので書き留めておく。

Netflix、Huluで配信されているドラマ『ホットスポット』。主演は市川実日子さんと東京03の角田晃広さん。
舞台は、どこか時代から取り残されたような田舎の温泉旅館。このドラマ、最初は「女性向けのシュール系か…」と距離を置いていた。(映像にかかっているフィルターみたいなものがそんな雰囲気を感じた)

けど意外と面白い。めちゃくちゃ構成がしっかりしている。そして前半と後半で私個人は見え方が少し変わっていた。けど見やすくて、同じように距離を置いている男性にもぜひ見てほしいドラマだった。

似すぎてる?『涼宮ハルヒの憂鬱』との奇妙なシンクロ

ネット上でもちらほら見かけるけど、後半からの展開はアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』にめちゃくちゃ似ている。これはキャラの持つ秘密や属性が後半から明らかにされることで、どうしても設定が似てきてしまうことから起きるのだが

実は物語後半部分まで尺当たらなくても十分このドラマはハルヒっぽい、というかアニメっぽい。
最初から「キョンがおっさんで宇宙人だったら」みたいなテンションで話が進み、
1話冒頭の主人公(市川実日子さん)の語り部口調もどこかキョンを連想させる。(バカリズム脚本はどれもこんなもんだろうが)

けど全て含めてこれは偶然じゃなく、ある種のオマージュ、もしくはパロディに近いと感じた。もちろん、全くのコピーではないけど「深夜アニメを見慣れている人」ほど、既視感があると思う。

公式HPのトピックスでも「E.T」のオマージュに触れていたりしている。

ちなみに、この“どこかで見たことある感”という現象、かつてアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』が『仮面ライダー龍騎』に似ていると話題になった時の空気とちょっと似ている。

つまり、「ジャンルは違えど、構造が似ている」タイプの作品で、こういう既視感が“面白さ”の一部として機能してる程度のスパイスだと考えていいと思う。

バカリズムの意外なアプローチ

脚本を手がけているのはバカリズムさん。これまでにも『架空OL日記』といった“日常のズレ”を丁寧に描く作品で高い評価を受けてきた。

このドラマを見始めてすぐに「これってバカリズム脚本のやつ?」と気づいた。
これまでバカリズム脚本はしっかり見たことがなく、「女同士の共感」をあからさまに食い物にしているイメージを持っていた。(ごめんね)


ドラマを視聴するのは女性が多く「女性の場合は、共感や同意のほうを心良く感じている」というのは分かるが
これみよがしに、「女同士の共感あるある劇場」みたいなものをわざと強調してる節が見ていて退屈だった。

というか、これ、女の子馬鹿にされてないか?これでいいのか?と思っていた。

そういった作風をイメージしていたのとは裏腹に、今回の『ホットスポット』はその「女性のための強調部分」が薄く感じるくらいには脚本がしっかりしている。

キャストがハマってる

(画像は日テレ公式HPから)

私がこのドラマを見ようと思ったきっかけでもあるんだけど、私は角田さんが好きだ。

過去に「男子高校生の日常」という映画に出演されていたことがあって、その時も角田さんは意外とそんなに浮いていなかった気がする(高校生役なのに)
今作では浮いてるどころか、むしろ脚本の「狙い」を無力化するほどのナチュラルさ。


ドラマではコントとかで見る“いつもの角田”なんだけど、良い意味で「ドラマの脚本感」を感じないのは角田さんのおかげだと思う。


むしろ「バカリズムっぽさ」が濃くなりすぎそうなところを、角田の“生活感”や“人間くささ”でちょうど中和してくれていて、わざとらしくない、あくまで“いつも通りの変なおっさん”なんだけど、それが場を救ってる。

今作では「バカリズム脚本が苦手」という人や、興味がない男性も見やすいドラマになっているのは間違いない。
そうでなければ私が最後まで見れていない。

ロケーションの力:精進湖の静けさがドラマを支える

本作の舞台となったロケ地、山梨県の精進湖。ここがとにかく素晴らしい。観光地としてもあまり目立たない場所だが、その分、風景に“余白”があって「ロケ地巡り」している人が多いのも納得できるくらいロケーションが綺麗。

私も行きたい。ちなみに「もんぶらん」という喫茶店も実際にあるそう。
ちょこっとだけ話に出てきた「青龍飯店」もあるんだって。

続編を希望したい

「ハルヒ」と似ていると話したがキャラ配置も設定も、あまりにも“それっぽい”。

だからこそ、ここまで寄せたならいっそ続編でもう少しオリジナルを見せてほしい

ベースを借りてる感が強い分、その上にどんなストーリーを乗せていくかが問われてくるだろうし、まだその可能性は十分にあると感じた。(最後に何かありそうで何もないまま退場したキャラがいるんで…)

そして面白かったので。

作品の「色味と音楽」

『ホットスポット』では、登場人物の衣装がストーリーの伏線として注目されていたようで、それだけお洋服の色味が綺麗に映えていて可愛い。

喫茶店「モンブラン」の内装とか、出てくる人たちの服の色味がちゃんとまとまってて、画面として見やすかった。

派手じゃないんだけど、なんかちゃんと“映える”感じがあって、会話が中心の話でも飽きない感じで、ちょっとくすんだ色味とか、茶色ベースの空間も落ち着いてて、なんか居心地いいというか、ずっと見てられる雰囲気だった。

音楽も今作では宇宙人である高橋(角田さん)がピンチの時に流れる、電気グルーヴの「富士山」などが注目されていてApple Musicで聞こうとしたら既にアーティスト内の一番上に表示される音楽になっていた。
ずっと「Shangri-la」だったのに…


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