Amazonで買った“謎メーカーの激安プロジェクター”を1年使ってみた結果

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zenzen

1994年北海道出身の30歳。現在は福岡に住んでいます。
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1年ほど前に「家でも大画面で映画を見たいなぁ」なんて考えていた時期があって
Amazonで探したら50000円〜100000円くらいで売っているのを見て絶望していた。

ただ、そんな時に激安の中華製品みたいなものを見つけて購入。
絶対怪しいだろうと思ったが、プロジェクターなんて買って使ってみないと分からんだろうと思い、HY350という激安プロジェクターをとりあえず購入した。

カントクlabさんという方がちょうど1年くらい前に私が持っている物と同じプロジェクターを動画でクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで紹介、公開してくださっていたのでここに載せておきます。ありがとう、カントクlabさん。

最近よく見る激安中華製品


何年か前からAmazonをはじめとするECサイトには、プロジェクターに限らず「ブランド不明」「評価が異常に高い」「価格が極端に安い」といった、いわゆる“怪しい商品”が多数並んでいる。基本的には購入しないが、それがすべて「悪」ではないというのも事実。

  • 価格破壊レベルのコスパ 同じようなスペックの日本製・欧米製より明らかに安く、特に試し買いや入門用にはぴったり。
  • 見た目や機能のバリエーションが豊富 回転式、Android内蔵、タッチ式など、妙に先進的な見た目の商品も多く、使ってみたくなる魅力がある。
  • 実際に“使える”こともある 期待値さえ下げれば、案外しっかり働いてくれる製品もある(HY350がまさにそれ)。

ただし注意点も多く

  • 口コミが信用できないことも多い 高評価レビューがサクラ(やらせ)であるケースも少なくない。
  • 法的・安全的にグレーな商品もあるらしい。
  • スペック詐称が横行 「15000ルーメン」「4K対応」など、盛られた表記が多く、実使用感とは大きな乖離がある。(この後話す)
  • ブランドや販売元がすぐ消える 数ヶ月で商品ページが削除されたり、メーカーが消えたりするため、返品や保証が期待できない。(この後話す)

自衛のためにもメイン用途ではなく、あくまでサブやお試し用途に割り切るのが賢明だろう。


なんにしても、無名中華メーカーが中国製全体のイメージを下げる要因になっている側面はある。そして、私が紹介しているシャオミ(Xiaomi)やファーウェイ(Huawei)、Anker、DJIのような中華ブランドにとっては多少迷惑な話だろうと思う。

そもそも「Aubor HY350」って何だと思ってたのか

「4K対応・WiFi6・Bluetooth5.2・Android TV搭載」といった豪華スペックをうたうプロジェクターを購入した。ブランド名はAubor。聞いたことのないメーカーだったが、レビューもそこそこ良く、価格も16000円と手頃だったため、思い切って購入。

実際に使ってみると、多少クセはあるものの「そこまで悪くない」というのが正直な感想だった。HDMI経由でゲームもできたし、Netflixも見れた。ただし、1年経った今、Amazon上からは商品ページが消滅。「やっぱりそうか…」という納得と同時に、いろんな疑問が湧いてきた。

Auborというブランドの正体

調べてみると、「Aubor」というブランドは、実体のない“名前だけ”の販売ブランドだった可能性が高い。中国の無名メーカーが量産するプロジェクターを、日本向けにラベルを貼り替えて売っていた、いわゆるOEM製品(またはODM)だ。

同じ外観・同じ型番の製品は「Magcubic HY350」など別名で現在も流通しており、これらはすべて、同じ設計図・同じ工場から生まれた「中身は同じ、名前だけ違う兄弟機」たちだ。

なぜ今は販売されていないのか?

これはシンプルで、「売り切ったら終わり」のビジネスモデルだからだ。

中華系の無名ブランド製品は、

  • 数ヶ月だけAmazonなどで販売
  • 在庫がなくなったら ブランドごとフェードアウト
  • 似た製品を 別のブランド名で再販売

という形で、常に新しい“顔”をつけて回転させている。

つまりAubor HY350は、今はもう売ってないけど、“名前を変えて”別の形で市場に残っているというわけだ。

今はMagic cubeという名前に変わっているがAmazonでは確認できず、アリエクでしか確認できなかった。

次のセクションでは、このHY350がオマージュしたと見られる「元ネタ」プロジェクターや、その違いを機能・使用感の比較表とともに詳しく掘り下げます。

このような中華系“無印ガジェット”について

1年間使った感想としては「Aubor HY350」というプロジェクターは、特定のメーカー製品を模した「模倣品」ではなく、言ってしまえば“設計元不明の量産型ガジェット”といったほうが近いだろうという使用感。

私が持っているHY350に限らず、最近の中華製プロジェクターの多くはさっきも書いたが「OEM設計」と呼ばれるパターンを採っている。つまり、製造そのものは中国の大手ODM(相手先ブランド製造)メーカーが行い、製品デザインや基本スペックは決まっている。その上に「Aubor」や「Magcubic」「WiMiUS」などのブランド名を乗せて販売するという仕組み。

やっぱり、HY350は「Auborのオリジナルプロジェクター」というよりも、「どこかの工場が作った箱型プロジェクターにAuborというシールを貼ったもの」と言った方が正しい。だからAmazonで同じ型番(HY350)なのにブランド名が違う商品が複数あるし、時期によってスペック表記が微妙に異なっていることもある。

たとえば、「15000ルーメン」という輝度表記もその一例。実際の明るさはおそらくもっと控えめで、ANSIルーメンに換算すれば300〜400lm程度と見ておいた方がいい。だけど、家庭の暗い部屋で映画を見る分には十分だった。要は「見栄えのいい数字で売る」スタイルであって、騙すというより“格安ガジェットあるある”という雰囲気だ。

真っ暗ならこれくらいしっかり映像が見れるが

部屋を明るくしちゃうとこんなもん。
ちなみに前面に少しだけ写っているテレビは32型なのでそこそこ大きく表示されている。

全灯ではなく、ちょっと暗めの明るさにしてこんな感じ。これでも見れちゃう。

重要なのは、HY350が「The Freestyle」や「BenQ」などの高級機を真似したわけではないこと。むしろそれらと似ていない。強いて言えば、安価な中華プロジェクターによくある「真四角デザイン」や「中央レンズ・上部ボタン・スピーカー配置」などの共通点はあるが、それはテンプレート的な工業設計から来ている。

この製品は、“無印良品”のような洗練された統一感はないが、ある意味“無印の中華ガジェット”として自然発生したものと捉えた方がしっくりくる。ブランド名はころころ変わるけど、製品としてはひとつの系統。こういうプロジェクターの存在を理解して選ぶなら、案外悪くない買い物だと思う。

1年使って感じたHY350のリアルな評価と注意点

HY350を1年間、実際に自宅で使用してきた中で見えてきたことをまとめておきたい。結論から言えば、「値段相応、でも意外と悪くない」。ただし、いくつか気をつけるべき点もあったので、それも正直に書いておく。

◎ 良かった点

  • 価格が圧倒的に安い:1万円台でこれだけの機能(WiFi6、Bluetooth5.2、Android TV搭載)が詰まっているのは正直すごい。
  • Android TVが最初から入ってる:NetflixやYouTubeを本体だけで観られるのは便利だった。
  • 発熱や動作音もそこまで気にならない:多少のファン音はあるが、映画視聴中に気になるレベルではなかった。

△ 惜しかった点・注意したいこと

私が使用していて大きな問題点はなかったが、小さなことには目を瞑る必要はあった。まず、

Android 11システムを内蔵しているため、YouTubeやNetflix、Prime Videoなどのアプリを直接インストールしてストリーミング視聴が可能です。Wi-Fi接続を使用して、スマートフォンやタブレットとのミラーリングもできます。

この点が一番問題点だと思う。

こんな感じでアリエクで今現行品として売っている商品も当たり前のように「Android11が内蔵」されているって記載があるんだけど、
Android 11のサポートは、2020年9月のリリースから時間が経過していてすでに終了している。OSアップデートのサポート期間は3年、その後2年間のセキュリティアップデートが提供されるのが一般的だがHY350が搭載しているAndroid 11は、最新の機能やセキュリティパッチが含まれていないため、使用する際にセキュリティリスクアプリの互換性問題が生じる可能性が高い。(私が使っているものも不具合はあるが動く程度)

他にも問題はあって、

  • 明るさは表記の1/10程度?:15000ルーメンというスペックは誇張。実際は暗い部屋専用。
  • スピーカーの音質はイマイチ:映画とか全然には迫力不足。Bluetoothスピーカーとの併用をおすすめ。
  • 初期設定がちょっとクセあり:私は全然大丈夫だったんだけどAndroid TVのセットアップに慣れていないと戸惑う人も多いみたい。正直ここは当たり外れの範囲かな。
  • ファームウェアの更新やサポートは期待できない:中華製OEM機なので、ソフトの更新などは基本ない前提で使うべき。
  • Netflixは操作不全になることが多い:これも個体によると思うが私はNetflixを使う時通常のリモコン選択ができず、マウス操作みたいな操作しかできない。
  • ミラーリング用アプリは使えない:これも今販売されているOEM設計だと変わっているかもしれないがスマホ用ミラーリングアプリは全然使えなかった。

そもそも、Android OSのアップデートはプロジェクターのメーカーからの提供がなければ行われまないし、メーカーが提供するアップデートはほぼないことが多いので、最新の機能やパフォーマンス改善を享受できないことを考えるとまぁこんなもんかなって。

結果全然ありな買い物。

これらを踏まえても、HY350は「気軽に使えるサブ機」や「プロジェクター入門用」としてはかなり優秀だったと思う。少なくとも、私は1年間それなりに満足して使えていたし、大きなトラブルもなかった。

ただし、万人におすすめできるかというとそうでもない。高画質を求める人や、アフターサポート重視の人には向いていない。逆に、「安くてそこそこ動くプロジェクターが欲しい」「サブで映画を観たい」くらいの人には、今も類似品を選ぶ価値があると思う。

「HY350に近いスペックで、今買えるおすすめは?」と聞かれたら、このあたりがコスパ的に一番近い。

スマホからのミラーリング、Bluetoothスピーカー機能、設置も簡単。しかもサポート対応もちゃんとしてる。

逆に“ちょっといいやつ”を求めるなら、AnkerかXiaomiの選択も全然アリ。

ぶっちゃけ今ならXiaomiが中間くらいで一番いいかもしれない。安いし保証もあるだろうし。

ただ、「長く使い続ける」ならやっぱり注意は必要で、
外部デバイスを使う:Chromecast、Fire Stick、Android TV Stickなどの外部デバイスを接続することで、最新のAndroid OSを利用したアプリを動かしてプロジェクターは映像の出力のみにする。

セキュリティ対策を強化VPNファイアウォールを使って、インターネット接続時のリスクを減らす。

などの対策は考えてもいいかも。ただ、これは「中華系の安いデバイスだから」ではなく
どんなものでも、サポート終了後の機器使用は「使えるけどリスクがある」と意識しておく必要がある。

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