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『クジラに落ちた男』4DX感想・考察|4DXは満点。父親を“消化する”話だった

zenzen

1994年北海道出身、福岡在住。会社員をしながら副業で美容師。映画・ゲーム・ガジェット・暮らしについて、実際に使った・観た・経験したことを中心に書いています。
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(画像は映画:クジラに落ちた男公式HPから)PR:本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。

『クジラに落ちた男』を4DXで観てきた。
結論から言うと、めちゃくちゃ楽しかった。

ただ、映画そのものだけだとちょっと物足りなかったような気もする。

終盤はちょっと駆け足だし、父親との話も「そこまで直接的にやるのか」と思うところがある。
細かいところでは電池とか、妙に明るいクジラの胃とか、気になる部分も普通にある。

でも4DX体験だけで評価するなら、満点。
これは文句なし。

『ゴジラ-1.0』以来、久しぶりに4DXで映画を観たけど、自分が今まで体験した4DXの中では一番よかった。

というか途中から、これ、ギリギリUSJのアトラクションでも成立するな。
と思っていた。

映画として完璧だから満点なんじゃない。

この映画の「クジラに飲み込まれる」という設定と、4DXという上映形式が異常なくらい噛み合っている。

今回はその辺をまずネタバレなしで書いて、その後に父親との関係や原題『Whalefall』の意味まで含めて考えてみたい。

観る前はそこまで期待していなかった

そもそも、自分はこの映画をものすごく楽しみにしていたわけではない。

主演がオースティン・エイブラムス。

最近観た『バイオハザード』でも結構好きだった俳優なので、「あ、この人出てるんだ」くらいの興味はあった。

同じタイミングで『ストリートファイター』とどちらを観るか少し悩んだんだけど、自分はそこまでストリートファイター世代でもない。

格ゲーだったら鉄拳の方が好きだしな……。
そんな理由でこっちにした。

ただ、一つだけ最初から決めていたことがある。

4DXがあるなら絶対4DXで観る。

海。
パニック。
クジラに丸呑み。

どう考えても4DXと相性がいい。

だから作品への期待というより、「この映画、4DXなら楽しそうだな」という期待の方が大きかった。

結果、その判断はかなり正しかった。

『クジラに落ちた男』はどんな映画?

本作はダニエル・クラウスの2023年の小説『Whalefall』を原作にしたサバイバル映画。

父親を亡くした青年ジェイが、その遺骨を探すため海へ潜り、巨大なマッコウクジラに飲み込まれてしまう。

残された酸素は約1時間。

父親から叩き込まれた海の知識を頼りに、クジラの体内からの脱出を目指す。

監督はブライアン・ダッフィールド。
主演はオースティン・エイブラムス、父親ミットをジョシュ・ブローリンが演じている。
上映時間は106分。公式も「劇場で見るべき没入型映像体験」をかなり前面に出している作品だ。

原作小説も映画に合わせて日本語版が刊行されている。

映画を観たあとだと、むしろ原作の方もちょっと気になっている。

4DX体験は今まで観た中で一番よかった

4DXって、作品によっては結構「後付け感」がある。

アクションだから椅子を揺らす。
雨だから水を飛ばす。
風が吹いたから風を出す。

もちろんそれでも楽しいんだけど、場合によっては、「はいはい、ここで揺れるのね」で終わる。

でも『クジラに落ちた男』はちょっと違った。

主人公が感じていることと、自分の体に起きることがかなり近い。

単なる追加演出ではなく、映像の一部を座席が担当してるような感覚があった。

海外の4DX鑑賞者からも、水・風・座席の激しい動きと作品の相性を評価する声が出ているみたい。
逆にThe Guardianの辛口レビューですら、クジラ内部の暴れる・濡れる・パニックになる部分を評価している。

海に入った瞬間から水しぶきが来る

まず主人公が海へ入る。

波に飲まれた瞬間に、こちらの顔にも水が来る。

といっても、本当にバシャーンと水をかけられるわけじゃない。

ミストに近い。
シュッ。
くらい。

でもこれがちょうどいい。

画面の中で主人公が海水を浴びた瞬間に、自分の顔にも冷たいものが当たる。

それだけで海の場面の体感がかなり変わる。

ネタバレなし感想

クジラの筋肉に押し潰されると、こっちまで押される

クジラに飲み込まれてからはもっと面白い。

体内の筋肉が収縮して、主人公の体が押し潰されるような場面がある。

その時、座席までグッと盛り上がって体を押してくる。

主人公が、「狭い、苦しい、潰される」となっているところで、観客側にも物理的な圧がかかる。

ここはかなり良かった。

普通に映像だけ観ていたら、「なんか内臓の壁に挟まれて苦しそう」で終わったかもしれない。

4DXだと、あ、今こういう圧がかかってるんだ。
と体で分かる。

鼓膜が逝くシーンの「シュポン」が最高

個人的に一番好きだった4DX演出はこれ。

主人公の耳に異変が起きる場面。

耳のすぐそばにあるエアの噴出口から、シュポンと空気が抜ける。

本当に鼓膜が破れるわけじゃない。当たり前だけど。

でも映像で耳がやられた瞬間に、自分の耳元でも空気が抜けると、一瞬こちらの耳まで変になったような感覚になる。

観てる最中から、「おお、すげえなこれ」と思った。

4DXって、派手に椅子を振り回すことより、こういう一瞬のリンクの方が面白いのかもしれない。

クジラが暴走すると、完全にアトラクションになる

クジラが痛みを感じ、かなりの速度で海中を移動する場面もよかった。

主人公はクジラの腹の中にいるので、当然むちゃくちゃに振り回される。

映像。
BGM。
クジラの鳴き声。
座席の揺れ。

全部が同時に来る。

ここまで来ると映画というより、かなりアトラクション寄り。

だから自分は途中で、「これユニバにあってもギリ成立するな」と思った。

もちろんユニバのアトラクションにしては内容が気持ち悪すぎるけど。

音もちゃんと体験を支えている

4DXの話ばかりしているけど、音も良かった。

クジラの鳴き声や体内の音。

主人公の呼吸。

周囲で何が起きているのか分からない閉塞感。

特にクジラが移動する場面ではBGMと揺れがしっかり噛み合っている。

ただ、音については「4DXだから特別」というより、映画自体のサウンドデザインがしっかりしているという印象。

公式の海外ページでもDolby Atmos対応作品として案内されているらしい。
配信されたらヘッドホンで視聴しても楽しいかも。

主演の「情けない声」がめちゃくちゃいい

オースティン・エイブラムスもかなり良かった。

特にパニックになった時の声。

めちゃくちゃ情けない。
でも、それがいい。

普通の映画なら主人公が危機に陥っても、それなりに格好よく叫ぶ。

でもこの人は、本当に死にそうな人間の声を出す。

クジラに飲み込まれて、酸素は減っていって、耳も聞こえなくなって、どこへ逃げればいいのかも分からない。

そりゃ格好いい声なんか出ない。

作品の大部分をほぼ一人で背負わないといけない役なのに、それで106分を持たせているのはかなりすごい。

海外評でもエイブラムスの一人芝居は比較的高く評価されていて、批判的なレビューでも主演の演技だけは褒めているものが多い。

ジョシュ・ブローリンが「雄大な自然の擬人化」みたい

父親役のジョシュ・ブローリンも良かった。

この親父については後で散々文句を書くけど、見た目と存在感はめちゃくちゃ格好いい。

自分には、雄大な自然をそのまま人間にしたみたいに見えた。

海に人生を捧げている。

魅力はある。

でも人間に優しくはない。

時には理不尽で、怖くて、近づきたくない。

これって海そのものじゃないかと。

息子が父親に惹かれながらも、同時に恐怖を抱いていたのも分かる。

クジラの腹の中は、グロというより普通にキモい

一応、こういうのが苦手な人向けに。

クジラの腹の中は普通に気持ち悪い。

壁は肉っぽい。

ぬるぬるしてそう。

液体もいろいろある。

胃酸もある。

ただ『エイリアン』みたいな、「未知の怪物の体内」ではない。

実在する生き物の中だから、まあ、腹の中ってこんなもんだよな。

と割り切れれば意外と平気。

むしろグロ耐性より、潔癖症の方がキツい気がする。

「怖い」より、触りたくねぇ。
の気持ち悪さ。

しかも4DXではそこへミストが来る。

潔癖な人は身震いするかもしれない。

4DXじゃなくても面白い。でも2.5〜3割は落ちそう

普通上映でも十分楽しめるとは思う。

4DX必須とまでは言わない。

ただ、自分が今回体験した面白さから考えると、普通上映になると2.5〜3割くらいは落ちる気がする。

理由は、この映画のクジラ体内がかなり分かりづらいから。

主人公が今どこを向いているのか。
何に押されているのか。
クジラがどちらへ動いたのか。

内臓の壁も似たようなものばかりだから、映像だけだと状況把握が難しい場面が結構ある。

4DXではそれを座席が補ってくれた。

クジラが動く。
自分も動く。
主人公が押される。
自分も押される。
波が来る。
水が来る。

だから、「4DXだともっと楽しい」ではなく、「4DXが映像の情報を補っている」という感じ。

これは今回かなり大きかった。

だから配信だとさらに評価が落ちると思う

配信で初めて観たら、たぶん自分の評価も変わる。

特にスマホとか、小さいテレビ。

体内の映像だけ見て、今何が起きた?となる可能性が高い。

もちろんストーリーそのものは残る。

でもこの映画の一番面白かった部分がかなり削がれる。

現在は劇場公開されたばかりで、日本公式サイトにも配信開始の案内は出ていない。

そのうち配信には来るんだろうけど、

気になっていて4DXに行ける環境なら、これは配信待ちしない方がいい映画だと思う。


ここからネタバレあり

以下、父親との関係や終盤の展開まで普通に触れる。

まだ観ていない人はここまで。

クジラに飲み込まれるまで引っ張らないのがいい

こういう映画で結構嫌なのが、なかなか本題に入らないやつ。

「この人が変な場所に閉じ込められる映画です」
と分かって観に行っているのに、いつまで経っても閉じ込められない。

『8番出口』とか『バックルーム』みたいな作品ほど、自分はそれが気になる。

いつ入るんだ?となる。
上記の作品では別に思わなかったんだけどね。

その点『クジラに落ちた男』はそんなに引っ張らない。

主人公が父親の遺骨を探しに海へ行く。
危険な状況なのに、結構強引に潜る。
そしてちゃんとクジラに飲み込まれる。

テンポはかなり良い。

制作側もここは意識していたようで、原作の内容を映画向けに整理し、クジラの中に入るまでを短くしているらしい。

ただ冷静に考えると、危険だと言われているのに、手袋もない状態でかなり強引に海へ入っていく。

観ていて、『バイオハザード』の時より危機管理能力ないな。とは思った。

同じ俳優だから余計に。

まあ父親への感情で焦っている人間なので、そこは別に大きな不満ではない。

回想が入るたびに勢いは落ちる。でもそこは気にならなかった

クジラの中でサバイバルしている途中に、何度も父親との記憶へ戻る。

当然、そのたびに勢いは止まる。

The Guardianなんかはかなり辛口で、クジラ内部のサバイバルに対して父子ドラマが足を引っ張っているという評価だった。

でも自分は、ここはそこまで嫌じゃない。

一個一個の回想がそんなに長くない。

それに、主人公がどうしてこんなに父親を怖がっているのか。

それでもなぜ父親を探しに海へ来たのか。

そこを少しずつ説明してくれる。

勢いは落ちる。
でも別にいい。

自分が引っかかったのは回想じゃなくて、その回想が終盤で一気に一本へまとめられるところだった。

父親、普通に怖い

そもそも父親ミットが、あんまり「実はいい親父だった」と思えるような人物ではない。

海への執着がものすごい。

主人公も父親に対して明確に恐怖を持っている。

特に印象に残っているのが、クジラを殺した数だけ顔に印を刻む民族の話。

そこから息子に対して、お前も顔を切れ
みたいなことを言いながら、ナイフを持って詰め寄る。

いや怖いよ。

それだけ観てたら、「親父にも親父なりの愛情があったんだなぁ」とはなかなかならない。

もちろん本人には本人なりの考えがある。

息子を強くしたい。
海で生きられる人間にしたい。

でもやり方がぶっ壊れてる。

だから終盤で父との関係が綺麗に回収されそうになると、ちょっと気持ちが追いつかなかった。

でも「親父は正しかった」という話ではない

ここは映画を観た直後より、後から調べたり考えたりした方が腑に落ちた。

たぶんこの映画、「父親のやり方は正しかった」とは言ってない。

公式のあらすじからして、ジェイが生き残る鍵になるのは、父親から叩き込まれた知識だ。

父親そのものを肯定する必要はない。

怖かった。
嫌だった。
傷つけられた。

それはそれ。

でも、クジラの腹の中に一人で閉じ込められた時、父親から教えられた海の知識だけは残っている。

それが結果的に息子を生かす。

自分には結局、クソみたいなやり方で教えられたことの中にも、生き残るために使えるものは残っていた。

これが一番近い。

父親を許す必要はない。
父親の人生を肯定する必要もない。

でも自分の中に残っているもの全部まで捨てなくていい。

使えるものだけ持っていけばいい。

クジラが父親になった瞬間は、正直「えぇ……」だった

ただ。

映画を観ている最中に、こんな綺麗に考えていたわけではない。

終盤、主人公は心身ともにボロボロ。

両耳の鼓膜もやられている。

そんな状態で、クジラから父親の声のようなものを感じ始める。

自分は最初、幻聴みたいなもんだろうな。と思っていた。

極限状態だし。

父親から教えられたことでここまで生き延びた。
だから頭の中で父親と会話している。

そのくらいの受け取り方。

ところが映画の方が、どんどん父親とクジラを重ねてくる。

そこで自分は、「えぇ……」だった。

生まれ変わり?
いや、それはないよな。

なんか、欧米の人ってそんなクジラに夢見てんの?くらいのことまで一瞬考えた。

自分の中に「欧米圏ではクジラを特別視するイメージ」があったのも大きい。

途中で主人公がクジラを傷つけた時も、「えぇ! 本当にそれやっていいの!?」とは思った。

クジラがかわいそうという気持ちも、もちろんある。

父親とクジラが重なる意味自体は分かる

ただ、映画が終わってから考えると、何をしたかったのかはかなり分かる。

主人公は一度流され、胃酸のある方へ落ちる。
そこから戻ろうとして暴れる。
その過程でクジラを傷つける。
クジラも傷つく。
主人公も傷つく。
それでも最後は外へ出る。

父との関係も似ている。

父親の世界に飲み込まれる。
そこから逃げようとする。
傷つけ合う。

でも父から受け取ったものを全部捨てるのではなく、生きるために必要なものだけ使って外へ出る。

そう考えると結構きれい。

『Whalefall』は「父親を許す」より「父親を消化する」話なのかもしれない

そして原題。

Whalefall。

Whale fallとは、死んだクジラが海底へ沈み、その死骸が長い時間をかけてさまざまな生物の栄養となり、一つの生態系を形成する現象。

だからWhalefallには、単純な「クジラが落ちる」以上の意味がある。

父親は死んだ。

父親の人生全部を肯定する必要はない。

でも、父から残されたものの中には、自分が生きるために使えるものがある。

それを吸収して、生きていく。

父親を許す話というより、父親を消化する話。

自分はこの理解が一番しっくり来た。

しかもそれを、本当に消化器官の中でやっている。

そこはかなり面白い。

ただし映画の方が答えを全部言ってくる

ここまで考えると、結構いいテーマじゃん。
と思う。

問題は映画自身がだいたい説明してくれること。

終盤になると父とクジラの関係をかなり直接的に見せる。

さらにWhalefallという言葉の意味まで、映画の最後で丁寧に教えてくれる。

だから、あ、そういうことねぇ。
で終わる。

自分の場合、この映画を観終わって何日も、「あれはどういう意味だったんだろう」と考え続けるタイプの余韻ではなかった。

テーマはちゃんと分かる。
考えれば面白い。

でも映画側がかなり答えを渡してくる。

この直接的すぎる感じが、自分が作品単体だとちょっと物足りないと感じる理由かもしれない。

この部分の

評価は割れているみたいで、父子の寓話を評価するレビューがある一方、「クジラ=父」の比喩や終盤の幻覚的な会話を重すぎる、露骨すぎるとする批評もある。

そこまでWhalefallが重要なのに、邦題そこ消すんかい

そして一番惜しい。

原題の『Whalefall』にこれだけ意味がある。

しかも映画自身がラストでその意味を説明する。

なのに邦題は、『クジラに落ちた男』。
いや。
そこ消すんかい。

もちろんマーケティング的には分かる。

『Whalefall』。
『ホエールフォール』。

これだけ見ても、日本では何の映画か分からない。

『クジラに落ちた男』なら、一瞬で「クジラ関係の変な映画」だと分かる。

ただ映画を最後まで観ると、原題の意味こそ作品の核心じゃないかと思う。

副題でもいいから残してほしかった。

しかも日本語版の原作小説まで『クジラに落ちた男』になっている。

ちょっともったいない。

父親からの手紙は、結局何が書いてあったんだ

もう一つ引っかかったのが手紙。

結構引っ張る。

父親からの手紙。

何が書いてあるんだろう。

これが父子の関係を最後にひっくり返すのかな。
と思う。

でも結局、中身は明確には見せない。

意味は分かる。

手紙に何が書いてあるかより、主人公自身が父との関係に決着を付けることが重要なんだと思う。

だから中身を見せなくても成立する。

成立するんだけど、あれだけ引っ張ったら普通に気になるよ。

電池の伏線は分かる。なんで持ってきたかが分からん

そして電池。

終盤の脱出に必要になる。

冒頭で主人公が電池を持っていくところはちゃんと映っている。

だから回収された時、「あ、確かに電池持ってたわ」とは思った。

ただ、その直後に、「お前なんで海にその電池持ってきてたんだっけ?」が来た。

伏線は見えていた。

でも持っていく理由が自分の頭に残っていない。

だから「伏線回収キター!」というより、確かに持ってたけど、そもそも何用?という不思議さの方が勝ってしまった。

ここは原作を読めばもう少し納得するのかもしれない。

クジラの胃の中、なんでこんな明るいんだ

これはもう映画だから仕方ない。
仕方ないんだけど。

クジラの腹の中が結構明るい。

主人公も見える。
周囲の内臓も見える。
何が起きているかも最低限分かる。

映像作品だから、真っ暗にしたら何も見えない。
それは分かる。

実際、制作陣はクジラ内部を実物大のセットなどで作り込み、光についても生物発光をイメージした設計をしている。

だから、映画内でも一応そういう光なんだろうで済ませてもいい。

ただ途中で、食道から口へ向かう時に急に真っ暗になる。

そこで一緒に飲み込まれた光るクラゲを持って、ライト代わりにする。

クラゲ自体は面白い。

でもこのシーンがあるせいで、じゃあ胃の中はなんであんな見えてたんだよ。
と思ってしまった。

クラゲがいなければ、多分そこまで気にならなかった。

暗闇を一度「ルール」として見せたことで、それまでの明るさが逆に気になった感じ。

まあ、どうでもいいっちゃどうでもいい。

それでも「面白かった」が一番先に来る

ここまで読むと、結構文句言ってるじゃん。
となると思う。

実際、言ってる。

父親との決着は直接的。
終盤はちょっと駆け足。
手紙は分からない。
電池は謎。
胃は明るい。

でも、一番最初に出てくる感想は、面白かった。
だった。

106分、ちゃんと楽しんだ。

クジラの腹からどう脱出するのかという単純なサバイバルも楽しかったし、俳優も良かった。

父子の話も、終盤の見せ方には引っかかっただけで、テーマそのものが嫌いなわけではない。

むしろ後から整理した

「親から残されたものの中から、使えるものだけ持って生きればいい」

という解釈は結構好き。

ちなみに4DXなのに字幕だった

あと、ちょっと意外だったこと。

4DXってなんとなく吹替で上映するイメージがあった。

アトラクション的に動くし、字幕読んでる場合じゃないのかなと。

でも自分が観た回は普通に字幕。

最初は、あ、字幕なんだ。
と思った。

ただ実際に観てみると特に問題はなかった。

揺れて字幕が全然読めないということもなかった。

とはいえ、この映画は主人公の声の演技がかなり好きだったので、逆に吹替版であの情けない悲鳴をどう演じてるのかはちょっと気になる。

機会があれば吹替でも観てみたい。

総評|面白い映画だった。特に4DX体験は満点。

最終的な評価はこれ。

作品には結構気になるところがある。

でも、「4DXという上映形式を一番楽しめた映画は?」と今聞かれたら、自分はこれを挙げる。

4DXがただのおまけじゃない。

この映画を理解するための身体側の情報にもなっていた。

だから普通上映でも十分おすすめできる。

でも4DXが選べるなら、自分は絶対そっちを薦める。

そして配信待ちを考えているなら、今回ばかりはちょっともったいない。

ストーリーだけなら後からでも観られる。

でもクジラの腹の中で座席ごと振り回されるのは、劇場公開している今しかできない。


原作『クジラに落ちた男』も読んでみたい

映画を観たあとで原作が小説だと知った。

原作はダニエル・クラウスが2023年に発表した『Whalefall』。

映画でも父親との関係がかなり大きなテーマになっているが、小説なら当然、主人公の内面をもっと細かく描ける。

今回自分が一番引っかかった、「終盤の父親=クジラが少し直接的すぎる」という部分も、原作ではもっと時間をかけて積み上げているのかもしれない。

映画を観終わった今、一番知りたいのはそこ。

「父親を消化する」という解釈が原作を読むとどう変わるのか。

374ページくらいなので、そこまで無茶な長さでもない。

これはそのうち読んで、映画版と比較してみたいと思っている。

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