少し前に、「オーバーサイズはもう終わりなのか?」という記事を書いた。
そこで書いたのは、オーバーサイズが全部ダサくなるわけではない。
でも、「とりあえずデカけりゃおしゃれ」みたいな一強状態は、かなり終わってきたんじゃないか。
という話だった。
じゃあ次に気になるのは当然、パンツはどうすんの?ということ。
ワイドパンツも終わりなのか。
またスキニーに戻るのか。
昔履いていたテーパードを引っ張り出すのか。
ここ最近のメンズを見ていると、どうも答えはそのどれでもない。
俺には今、細くなったワイドではなく、太くなったストレート。
このくらいが一番「今っぽい普通」に見える。
しかも調べていくと、どうやら俺だけの感覚でもなさそうだった。
ワイドパンツはもう古い?俺の答えは「まだ古くない」
先にここだけ答える。
ワイドパンツは別に古くない。
Our LegacyのThird Cutみたいなワイドストレートも普通に格好いいし、極端に太いパンツだってなくなったわけじゃない。
ただ、「何も考えずワイドを選べば今っぽい」という時代は終わりつつあるんじゃないかと思う。
GQは2026年9月、今秋のパンツについて、巨大なパンツ一辺倒から、ストレートでリラックスした、どこか90年代的なシルエットへ日常着の重心が移っていると整理している。
股上は少し高め。
太ももには余裕がある。
でも裾までやたら広げず、きれいにまっすぐ落ちる。
つまり、太すぎず、細すぎず。
GQ自身も、今の感覚を「1990年代だと思えばいい」とかなり分かりやすく表現している。
これ、めちゃくちゃ分かる。
ここ数年って、
太い。
↓
もっと太い。
↓
まだ太くする。
みたいなところまで行った。
そこから少し振り子が戻って、「普通ってこの辺じゃない?」となっている。
日本はまだルーズ。でもストレートはやっぱり強い
ただし、「海外で細くなった=日本ももう細身」ではない。
ここは分けた方が良さそう。
FASHIONSNAPがデニムブランドYANUKへ取材した記事では、メンズはウィメンズよりトレンドの移行が緩やかで、実際の市場ではまだルーズシルエットが主流だという。
そのうえで、YANUKのメンズで販売本数が最も多いのは、「細すぎず、太すぎず」のクラシックストレート。
トレンド商品では、裾までズドンと落ちるルーズストレートが強いという。
もちろん、これはYANUKという一ブランドの話。
日本人全員が同じパンツを買っているわけではない。
ただ、ランウェイは細くなってる。街はまだ太い。その真ん中のストレートが強い。
という今の状態を考える材料としては、かなりしっくりくる。
「90年代ストレート」って結局どんな形?
俺が今回言っている90年代ストレートは、
スキニーでもない。
バギーでもない。
腰と太ももにはちゃんと余裕がある。
そこから、裾まで素直にストンと落ちる。
足首だけキュッと絞らない。
逆に、横幅を見せるためだけに極端にデカくもしない。
だから、昔の501を少し太くしたようなパンツ
くらいに考えると分かりやすい。
Levi’sで並べると「今の位置」が分かりやすい
シルエットって言葉だけだと分かりにくいので、Levi’sで並べた方が早い。
俺の感覚でざっくり並べるとこう。
| モデル | 形 | 今見ると |
|---|---|---|
| 502 Taper | 太もも普通→裾を絞る | 2010年代テーパードの基準 |
| 511 Slim | 全体的に細身 | 細身回帰を見る基準 |
| 501 Original | 定番ストレート | 基準点 |
| 501 Relaxed | 501を少しゆるく | 今かなり自然 |
| SilverTab系 | 90年代的なルーズ感 | 今またハマる |
| 555 Relaxed Straight | ゆったりストレート | 古着っぽい90年代感 |
| 568 Loose Straight | さらにルーズ | ワイド側 |
| Our Legacy Third Cut | ワイドストレート | デザイナーズ寄り |
Levi’s自身、502は太ももには余裕を残しながら足首へ細くなるテーパード、511は全体を細くしたスリムとして分けている。
502はW32で裾口14.5インチ。511も裾口14.5インチだが、511の方が膝からすでに細い。
つまり同じ「裾が細いパンツ」でも、
502=途中から絞る
511=最初から細い
で全然違う。
一方、501 Relaxedは定番501のストレートレッグを残しながら、ヒップと脚に余裕を足したモデル。
Levi’s自身も「501にリラックスフィットを与えた」と説明している。
これが今の空気をかなり象徴していると思う。
新しくバギーを作るというより、普通のストレートを、ちょっとゆるくする。
555まで行くと、かなり「古着屋で見つけた90年代」っぽい
555 Relaxed Straightは、さらに分かりやすい。
Levi’s自身が、ヴィンテージの古着屋で見つけるようなストレートという方向で説明している。
W32基準で膝19インチ、裾口17インチ。
501 Relaxedよりさらに余裕がある。
だから、501 Relaxedが「普通をゆるくした」なら、
555は、「あえて古着っぽい太さにした」という感じ。
この辺から90年代感が一気に強くなる。
SilverTabがまた格好よく見えるのも偶然じゃない
俺はSilverTabを持っている。
これが最近、また妙にしっくりくる。
SilverTab自体、Levi’sが1990年代のオーバーサイズなスタイルと空気を現代へ戻すラインとして展開しているもの。
Straightはストレート。
Looseになると、ヒップと太ももを大きく取って、裾へ少しテーパードする。
つまりSilverTabの中にも、
90年代の“普通に太い”から、しっかりバギーまである。
俺が今回、「今ちょうどいいのは90年代くらいじゃない?」と考えたのも、別にGQの記事を読んで急に思いついたわけじゃない。
普段履いているSilverTabを見ても、このくらいのルーズさ、今ちょうどよくない?
と感じていた。
数年前なら、
もっと太くてもいい。
と思っていたかもしれない。
今は逆に、この微妙な普通さが格好よく見える。
なのに俺が最近買ったのはGAPの「Extra Baggy」
ここまで、「今は太めストレートくらいがちょうどいい」と書いておいてなんだけど。
俺が最近買ったデニムは、Gap「The Hailey Extra Baggy」。
バギーです。
しかもExtraです。

GAPとヘイリー・ビーバーによるこのシリーズは、公式からして1996年にインスパイアされたデニム。
「Loose. Baggy. Inspired by 1996.」と打ち出され、Extra Baggyはローウエスト気味で、脚全体にかなり余裕を持たせたモデルになっている。
俺が買う時にはもう一つ、The Hailey Low Rise Looseもあった。
こっちはもう少し落ち着いた90年代的なルーズ感。
ただ、形が手持ちのSilverTabとちょっと被るなと思った。
それにその時の俺、あんまり濃紺の気分でもなかった。
せっかくもう一本買うなら、似た役割のデニムを増やすより、もっと振り切った方がいい。
それでExtra Baggyを買った。
で、これが結構気に入っている。
だから「ワイド終了」ではない
この買い物を考えると、自分でもワイドパンツは終わったなんて全然思ってないんだよね。
むしろ逆。
ストレートが基準に戻ってきたから、バギーを“あえて太く履くパンツ”として選びやすくなった。
以前は、「今っぽくしたいからとりあえずワイド」だった。
たぶん変わったのは太さじゃない。
“太ければ太いほど正解”が終わってきた。
Our Legacy Third Cutはまだ古くない
じゃあThird Cutみたいなワイドストレートはどうなのか。
これも全然古くないと思う。
Our Legacy公式では現在もThird Cutを、
Relaxed fit / Wide straight leg
として展開している。
だからThird Cutって、バギーというよりまっすぐなシルエットを太くしたパンツ。
ここが結構重要。
今の「ストレート回帰」と喧嘩しない。
むしろ、
501 Relaxed
↓
555
↓
Third Cut
みたいに、
同じストレート軸のまま太さだけ変える
と考えるとかなり分かりやすい。
Third Cutが急に古く見えるというより、「今日は太めを選びたい」時のパンツになっていく感じ。
スキニーは復活する?ランウェイではかなり細くなってる
じゃあ逆方向。
細身は本当に戻るのか。
ランウェイでは、これはもうかなり来ている。
Vogueは2026年、Prada、Dior、Gucciなどで増えている細身のメンズシルエットを「Slender Man」と呼び、ハイウエスト寄りの細いパンツ、身体に近いトップスやジャケットを特徴として挙げている。つまり、ワイド一辺倒だった数年前とは明らかに違う。
ただし俺はまだ、「スキニー復活!」とは言わない。
GQの2026年秋デニム記事でも、90年代的なリラックスデニムは依然強く、スキニーは慎重に戻り始めている段階として扱われている。
YANUKのメンズ担当者も、実際の市場ではまだルーズが主流で、スキニー人気が本格的に戻るかは不透明としている。
だから今は、スキニー復活じゃなく、スリム化が始まった。
くらいがちょうどいい。
しかも昔の「スリムテーパード」に戻る感じでもない
2010年代のメンズって、テーパードがとにかく多かった。
太ももには少し余裕。
↓
膝から細くなって、
↓
足首キュッ。
スニーカー見せます。
みたいな。
Levi’s 502が今でもかなり分かりやすい例で、公式でも太ももは普通、脚はテーパードと説明されている。
でも今ランウェイで出てきている細身って、細いけど比較的まっすぐ。
スリムストレート。
シガレット。
そういう方向が目立つ。
だから、スリムが戻る=昔のテーパードがそのまま復活ではなさそう。
ここは結構違うと思う。
2026年のパンツを雑に並べるとこんな感じ
俺の見立てをかなり雑にすると、
数年前
スキニー・スリムテーパード
↓
ここ数年
ワイド・バギー一強
↓
2026年
90年代っぽいリラックスストレート←今この辺が一番普通に今っぽい
↓
ランウェイの先
スリムストレート・シガレット
↓
その先
スキニーまで戻る?
という感じ。
本当に街中までスキニーへ戻るのかはまだ分からない。
ただ、ワイドしか勝たんみたいな状態から動いているのは間違いない。
今買うならどのくらいの太さがいい?
俺なら今、最初の一本ならリラックスストレート。
501 Originalより少しゆったり。
でもバギーまでは行かない。
そのくらい。
もっと90年代っぽくしたいならSilverTabや555。
ファッション寄りに太くするならThird Cut。
もう少し振り切りたいならGAPのExtra Baggyみたいなパンツ。
逆に今から細身へ行きたいなら、いきなり昔のスキニーを引っ張り出すより、まずスリムストレートくらい
からの方が自然だと思う。
90年代が戻ったというより、普通に戻ったら90年代だった
今回いろいろ調べて、一番しっくりきたのはこれ。
90年代が懐かしいから、90年代デニムが復活した。
だけじゃない。
スキニーを長く履いた。
飽きた。
↓
反動でバギーになった。
↓
それにも慣れた。
↓
じゃあ普通ってどこ?となった。
その答えが、たまたま90年代くらいの太さだった。
今の感覚でパンツを普通にしたら、90年代になった。
俺にはそのくらいに見える。
だから、オーバーサイズが終わった。
↓
細身に戻ろう。
ではない。
その間に、かなり広い「普通」が戻ってきている。
俺自身、SilverTabも履く。
GAPのExtra Baggyも履く。
今後細いパンツを履く日もあると思う。
結局、一種類のシルエットだけで全部済ませる時代が終わってきたということなのかもしれない。
今ちょうどいいパンツの太さは?
俺ならこう答える。
細くなったワイドじゃない。
太くなったストレート。
そのくらいから選んでおけば、今は一番使いやすいと思う。
